何の為に生まれたのか?①

　私は何の為に生まれたのか？

　この問いかけは、老若男女、洋の東西、哲学から科学、宗教に至るまで、あらゆる人間が頭を悩ます問題であると思います。

　私もそれを考えた時、答えが出ることはありませんでした。無論、これはその時の年齢や環境でも変わってくることかと思います。

　まさに、今、考えてみますと、「光明寺の住職になる為に生まれた」とか「妻の隣にいる為」とか「子どもたちの為に」と色々と浮かびますが、これは結果ありきの考え方ではないか、と思います。もし、私が住職にならずに、小説家にでもなったら、「小説家に生まれた」と思うでしょうし、結婚しなかったら、独身でできることをする為に生まれた、と考えそうです。ええ、間違いなくそう考えるでしょう。

　では、私は何の為に生まれたのか？

　こんな話もあります。すでに生まれてきたという事は、何かしら理由があって生まれたのだから、悩む必要はない、という話です。確かにそうです。生まれてくる理由がなければ、そもそも生まれてこないのですから、生まれてきたという事はなにかしら、理由があるのでしょう。

　戻ります、私は何の為に生まれたのか？

　思うに、この問いかけ自体も拠り所を探す私たちの心の揺らぎなのでしょう。人間はやはりよって立つものが必要なのです。現実のものであれ、空想のものであれ、実体のあるものであれ、形のないものであれ。

　もし、拠り所を見つけて、「これが私も生まれた意義」と断じることができれば、それが何より幸せなのかもしれません。例え、数年後にそれが変わっていたとしても。拠り所を探し求めて生きるのが、我々人間の性質の一つであると思います。