仏具についてお答えします④“中啓”

光明寺

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仏具についてお答えします④“中啓”

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2015/03/17 仏具についてお答えします④“中啓”

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 扇子や扇、見る方によってはハリセンともいわれますが、中啓(ちゅうけい)と呼ばれる仏具です。ご法事の折に僧侶が持っているのを見られた方も多いと思います。

 

 仏具といいましたが、お公家さんや武士の方も儀礼用として持たれていたそうです。啓は“ひらく”という意味で、上部(写真の左側)がたたんでいても半ば(中ば)ひらくというところから名前がついたそうです。詳しくは存じ上げませんが、日本の扇子が中国にわたり、この形になったそうです。どうやら、中国の方は扇子の骨が見えるつくりが嫌だったそうで、骨が見えないように両面を紙で覆ったそうです。ところが、そのせいで、上部がしっかりとしまらなくなり、この形になったとされます。室町時代あったそうですが、それ以前はどうか分かりません。

 

 さて、この中啓。広げると、下の写真のようになります。

 

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まさに扇子のようでありますが、これであおぐなんてコトをしてはいけません。まして、ハリセンのよう叩くなど、問題外です。実はこの中啓、儀礼の飾りとしての意味合いも強いのですが、広げた状態でこの上に、お経の本やお念珠を置くときに使います。お経の本やお念珠は、本来、床においてはいけないものなのです。お参りに来た、僧侶のお経の本やお念珠の扱いをご覧いただければ、直接床においていない事が分かると思います。それだけ、大切なものとして扱っているのです。

 

……もし、お参りに来た当寺の僧侶が、お経の本やお念珠を床に直接置いておりましたら、ご一報下さい。灸をすえておきます(笑)

 

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