破滅

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破滅

昔のブログ

2015/02/16 破滅

 仏教における原初の経典の一つ、『スッタニパータ』に「破滅」という章があります。その中から一つ。

 

「悪い人々を愛し、善い人々を愛することなく、悪人のならいを楽しむ。これは破滅への門である」

 

悪い人々、善い人々を区別する事は難しいと思われるかもしれませんが、お釈迦さまはこの一文の前に

 

「栄える人を識別する事は易く、破滅を識別する事も易い」

 

と言われています。善悪の判断は、我々が細かい事にとらわれず、判断できる部分という考え方で問題はないと思われます。

 

 さて、この一文を読んで思うのは、「正直者がバカをみる」という言葉でしょうか。私が学生時代には真面目、正直者というのは、蔑みの言葉を含んで使われていたことがあります。対して「要領がいい」また、「うまくやる」というのが、尊敬の念をこめて使われておりました。

 

 「正直者がバカをみる」という諺があるとおり、時に、正直者が損をする事は確かにあるでしょう。しかしながら、悪い意味の要領の良さや、うわべの言葉、行動だけの人が、得をする人なのでしょうか。

 

 その事を問われている一文であると思います。最近は特に、人間を測る物差しの存在感が強くなり、その形に合わないものは、駄目なものとしてのレッテルをはられることが多いように思います。改めて、自分が思う正しいという事。ただ、それは独りよがりではなく、世間に、世の中にそくした正しさであること。それを見据えて、コツコツ積み上げていく事が、破滅を避ける正しい方法であると思います。

 

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