仏さまのお顔

　非常に私事ではありますが、当寺の仏さま、阿弥陀仏のお顔は私が物心つくころから考えますと、親の次によく見ているお顔であると思います。朝、お勤めをし、夕、お勤めをし、中にはお寺で法要の折、掃除の折、前を通ると時。幾度と無く、そのお顔を拝見致しますが、不思議と表情が違って見えたりします。

　もちろん、木造の仏様が動くはずがありませんので、これは私の心がそう見せているのだと思います。非常に暖かい微笑みに見えるときもあれば、少し呆れたお顔に見えるときもあります。実に不思議です。

　仏様は私の鏡。そんな話をお聞きしたことがございますが、まさにそうなのでしょうね。

　そして、もう一つの鏡といえば、私の妻がそうだと思います。私が、我慢しているなぁ、と思ったその時、妻も我慢していたりするわけです。それを思うと、鏡は妻だけではありませんね。ご縁のある方々全てが私の鏡かもしれません。

　ありのまま、姿を映す鏡ですが、心は決して映りません。私の心をありのまま、移してくれる鏡は私の身近な方々なのかもしれません。