お釈迦さま⑩贅沢三昧の生活

　シッダールタは少年時代、贅沢三昧ともいえる生活をしていました。それも全て、父であるシュッドーダナが出家などさせないためのものです。世の真理を見極めるよりも世界の王となって欲しいという思いからでした。

　あらゆるものを与えたそうですが、聞くところによると、夏と冬の宮殿があったり、日を空けず宴を開き、シッダールタの気持ちを城に留めようとしたといいます。

　ところが、その贅沢三昧の日々はシッダールタに城にとどまらせるどころか、逆に苦悩の種となっていくのです。例えば、宴を開くと美しいダンサーたちがシッダールタの前で踊り、彼を誘惑します。王子を誘惑するなどと非常に無礼に思えますが、当時のインドでは珍しいことではなかったようです。美しい女性たちですが、宴が終わると酔いつぶれ、だらしない格好で寝ている姿をみたシッダールタは落胆したといいます。

　また、どれだけ美しい宮殿も、華も、服も、やがては朽ちていくのだ、と後に説かれる諸行無常という言葉の原点のようなお気持ちを抱かれたそうです。

　それでも、シュッドーダナはシッダールタに出家をさせない様に与え続けたそうです。