命のフィルター

　先だって、阪神西組の門徒総代の方々の会合で、ある住職様のお話をうかがいました。色々と勉強になったのですが、その中でもとりわけ印象的だったのがタイトルにもしております、命のフィルターという言葉です。

　親が子に、子が孫に、ものを伝えるとき、良き事を伝え、悪し事を伝えない。これは当たり前のことかと思います。自らの人生で、やってみてよかったことを勧め、逆に悪い事は伝えなかったり、戒めたりするでしょう。これを「命のフィルター」と呼ばれておりました。つまり、この「命のフィルター」は教育そのものといえるでしょう。

　近年、時代の流れが一段と速くなり、スマートフォンの登場で、教育というものが根本的に揺らいでいるような気がします。時代の流れが速すぎて「命のフィルター」が機能しないのではないか、そんな懸念さえ感じます。

　ところが、周りがいかに早く進もうが、人間は人間です。形を変えようと、慈しみの心はありますし、死者を偲ぶ思いももちろん、あるのです。問われているのは伝え方ではないかと思います。人にものを伝える原点。相手の立場になって考える。ここに尽きるような気が致します。

　私の娘もそろそろ、理屈が分かるようになり、自分勝手を優先する為に理屈を駆使する歳になりました。時代が、環境が、という事もあるでしょうが、それらを言い訳にしない生き方を今一度、考えてみたいと思います。