六道⑭畜生

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六道⑭畜生

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2014/08/05 六道⑭畜生

 少し間が空きましたが、六道の続きを紹介させていただきます。
地獄道、餓鬼道ときまして、次は“畜生”(ちくしょう)道です。

 

 畜生というと、餓鬼同様、あまり良い言葉ではありません。また、腹立ちを表す台詞として「ちくしょう!」と言う場合もあります。本来、仏教では、人、天以外の生物を指すそうです。

 

 『往生要集』によれば、以下のようになっております。

 

1.畜生道は二つある。本来は大海に住むが、枝分かれしたものは、人間界や天界に住む。

 

2.その種類を論じれば、34億種あるが、大きくまとめれば、鳥類、獣類、虫類の三つに分類される。

 

3.畜生は常に強弱があり、お互いに傷つけあっている。

 

4.食べている間、飲んでいる間、昼も夜も、絶えず恐怖を抱いている。

 

5.水に棲むものは、漁師に殺され、陸にいるものは狩人に殺される。

 

6.象、馬、牛、ラクダ、ロバなどは、人に遣われ、重いものを背負わされ、水と草を求める以外は何も分からない。

 

7.ナメクジ、イタチなどは、闇の中で生まれ闇の中で死ぬ。シラミやノミは、人間に寄り生きるものの、人間に殺される。

 

8.諸々の龍は三熱の苦しみを受け、昼夜休む事がなく。体の大きい蛇は、小さな虫に食われてしまう。

 

9.この畜生は、僅かな間か、もしくは非常に長い間、苦しみを受ける。また、様々な事情で殺されてしまう。

 

10.愚痴無慚で、いたずらに信の施しを受けるも、他のもので償わないものがこの苦を受ける。

 

以上が、畜生道になります。
地獄道に比べると、随分とソフト(変な言い方ですが)になってきたような気がします。
また、地獄道や餓鬼道に比べ、文章が非常に短いのも気になるところです。
「中村元」師の『往生要集を読む』には、「地獄や餓鬼のうちに、生きている人間の姿を見出したからではないか」と記されています。

 

 畜生道は、総じて常に死の恐怖にさらされる事が強調されています。地獄の場合は、殺される事が前提のような世界ですが、畜生道ではある意味、リアルな自然の厳しさに近いものがあります。
 思い返せば、野生動物の世界を人間の感覚で考えると、恐ろしいものかもしれません。

 

次は「修羅道」の予定です。

 

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