六道⑭餓鬼Ⅱ

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六道⑭餓鬼Ⅱ

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2014/07/20 六道⑭餓鬼Ⅱ

 餓鬼道の後半です。『往生要集』には餓鬼というだけに、飢える、食べる事への制限や執着が強く描かれております。自分自身の親を供養する事で、僅かながら餓鬼の口の中に食料が入るという考え方があり、お盆でいう施餓鬼というものに繋がっていると考えられます。

 

 以下、前回の続きです。

 

8.「食水(じきすい)」という餓鬼は、飢えと乾きで慌てて水を探すが手に入らず、苦しんでいる。髪が長く顔を多い、目が見えない状態で走って川に 向かう。川に人が入るとその足からこぼれる水で、命をながらえる。また、亡くなった父母に水を施すものがあれば、その水の一部で、命をながらえる。もし、 自分から水を求めれば、たちまち、水を守る鬼に杖で打たれる。酒を水で増やして売ったり、みみずや蛾を水に沈めて善い事をしなかったものが、この報いを受 ける。

 

9.「悕望(けもう)」という餓鬼は、亡くなった父母のために法事をしているときのみ、僅かに食べる事ができる。それ以外は口にするものは無い。人が苦労して手に入れたものを騙し取ったものがこの報いを受ける。

 

10.また、非常に暑いところで僅かな水で生きるものや、墓場で火に焼かれた死骸を食べるもの、木の中で生まれ、圧迫され苦しむもの、長い髪が体にからまり、その髪が刃になったり、炎になったりして苦しむものがいる。

 

11.また、昼夜に五人の子を生み、それを食らうも尚、飢えるものや、自らの頭を割って、脳を食べるもの、また、口から火を吐き、飛んできた蛾を食らうもの、糞、涕(なみだ)、膿、血、食器を洗った残り汁を食べるものもいる。

 

12.また、きれいな水を見つけても、鬼に叩かれ、得られないものや、口が針の穴のように小さく、食事があっても食べられないもの、また、僅かな食事を見つけても、それが炎に変わって食べられないものもいる。

 

13.人間世界の1月が餓鬼道の1日で、その寿は500歳です。つまり、30日×30日。人間世界の900日が餓鬼道の1ヶ月です。500年は、人間世界の5400000日に当たります。つまりだいたい、人間世界の1万4795年程度が餓鬼道の時間といえるでしょう。

 

14.ものおしみ、貪るものが、餓鬼道に堕ちるとされます。

 

以上が『往生要集』に記された餓鬼道の姿になります。

 

 地獄道と酷似しているのは、悪行を犯した報いという点でしょうか。ただ、地獄と違うのは、炎熱の中で苦痛の罰を受け続けるという姿ではなく、何かを(主に食事)を制限された状態で、苦しい思いにさいなまれるという点でしょうか。また、餓鬼によっては汚物しか食べられないなど、非常におぞましい存在もあります。

 

 自らの貪りによって今度は、「得られない世界」の住人になる姿は因果応報という言葉が表すとおりといえるでしょう。

 

 餓鬼道の次は畜生道になります。

 

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