六道⑫地獄“阿鼻”Ⅱ

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六道⑫地獄“阿鼻”Ⅱ

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2014/07/03 六道⑫地獄“阿鼻”Ⅱ

 前回に続き、阿鼻地獄です。地獄の最下層であり、最も苦痛を伴う地獄の姿です。

 

前回と同じく箇条書きに致しますと

 

1.阿鼻地獄では、三熱(炎の強さを三段階に分けたもの)鉄の大地があり、激しい炎が罪人を突き刺し、皮膚の下の肉を蝋のように焼き、炎の塊となる。東西南北全てから炎が迫り、罪人の泣き叫ぶ声が聞こえるだけである。

 

2.三熱の鉄の山を上っては下りを繰り返したり、舌を引き抜き、牛の皮を張るように、それを釘でうち、広げる。

 

3.口を“かなはし”で無理やり開けて、そこに三熱の鉄の玉を呑ましたり、焼けた銅を流しこんだりする。すぐに罪人の内臓を焼き尽くす。

 

4.阿鼻地獄は他の地獄全ての苦しみの千倍の苦しみがある。阿鼻地獄の罪人が大焦熱地獄の罪人の姿を見る、他化自在天にいるようにさえ見えるという。※1

 

5.阿鼻地獄の刑期は一中劫とされる。限りなく長い時間という事であるが、349京2413兆4400億年という説もある。※2

 

6.阿鼻地獄には、五逆罪(父を殺す、母を殺す、聖者を殺す、仏の体を傷つける、集団の和を乱し、分裂させる)をつくり、因果を否定し、大乗を謗り、四重戒(淫、盗、殺人、大妄語)を破り、嘘で在家信者の施物を受けたものがこの地獄に堕ちる。※3

 

7.以前同様、小地獄があり、諸々の地獄の中で最も苦しいとされる「鉄野干食処(てつやかんじきしょ)」は、鉄の瓦を夏の豪雨のように降らせ、罪人の体は粉々に砕ける。また、炎の牙のある狐が罪人を食らう。仏像や寺、袈裟を焼いたものが堕ちる。

 

8.また「黒肚処(こくとしょ)」では、あまりの渇きに自らを食らう。食っては体が戻り、また食らう。また、黒い腹の蛇が足の先から徐々に食らっていく。また、鉄の釜でゆでられる。仏様へのお供えを奪って食べたものが堕ちる。

 

9.また「閻婆度処(えんばどしょ)」では、閻婆(えんば)という巨大な悪鳥がおり、象のような大きさでくちばしから炎が出ている。罪人を咥えて飛び回り、これを落とす。罪人は百に砕けてるが、また合す。合すればまた、咥えられる。他人の使用する川の水をせき止め、渇死させたものが堕ちる。

 

 これで、地獄の紹介は終了です。
『往生要集』には、阿鼻地獄の後に、地獄のまとめがありますが、この度は、割愛させていただきます。
 この阿鼻地獄は「無間(むけん)地獄」とも呼ばれます。子供の頃、一番ひどい地獄は「無限(むげん)地獄」だという噂がありました。恐らく、「無間(むけん)」の取り違いかと推測さてますが、無限の苦という意味では言い得て妙かもしれません。また「無間」、間が無いという事で、絶対的な孤独を表した地獄という憶測もありましたが、こちらは単純な間違いだと思います。

 

 さて、この阿鼻地獄、僧の罪にまで言及されている部分が非常に現実的であり、公平な感じがするのは、私だけでしょうか。改めて、身が引き締まる……というよりは、身が凍える事でございます。

 

 次回、というわけではありませんが、徐々に六道を紹介していくつもりです。お付き合いありがとうございました。

 

以下は註です。

 

※1
 「他化自在天」六欲天の最高天。この世界の神々は他の天界の神々がつくりだした欲望対象を自在に受け用いて自分の楽にする事ができるという。『浄土真宗聖典注釈版 七祖編 巻末註』より抜粋。

 

※2
 『往生要集』に「この無間地獄の寿一忠劫なり」とあります。

 

※3
 『往生要集』に「五逆罪を造り、因果を撥無し、大乗を誹謗し、四重を犯して、虚しく信施を食らえるものここに堕つ」とあります。

 

等活地獄同様、計算は概算です。また、勘違いや、計算の間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。尚、参考は『浄土真宗聖典注釈版 七祖編』です。

 

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