聞くは一時の恥

昨年で四十路になった住職ですが、２０代の頃、それはもう「知らない」というのが嫌で嫌で仕方がなかったんです。

もちろん、嘘を言うわけにはまいりませんから、知らない時は「分かりません」と正直に申し上げておりましたが、とにかく嫌でした。負けたような気がしていたんでしょうね。

それが、歳を取ったからか分りませんが、昨今は「知らない」という事に無意味な敗北感はなくなりました。

このあたりが「聞くは一時の恥、聞かぬは一生恥」と理解したのか。ただただ、歳をとって負けん気がなくなったのか。

…前者だといいんですけどね（笑）

世の中には知らないことがそれはもう無限にあり、ホント家の隅の何気ない部品にさえ、先人の英知が詰まっているのですよ。

その私の知らない何かが、私を生かしてくれています。そりゃ、想像の外、認知の外、理解の外にあるもの。

気づくこともできないそれが、私を今日生かしてくれているのです。そう思うと、世界は広いなぁ、となんだか感心してしまいます。

仏教ではすべての方向を十方と申しますが、全方位、感謝をしないといけないものがあるのです。南無阿弥陀仏。