仏教を学ぶにあたり必要なものは？

　唐突ではございますが、仏教を学ぶにあたり、一番必要なものはなんですか？

　という質問を随分以前にお聞きした事があります。一番というと定まるところではございませんが、私がお聞きした中で「なるほど」と思ったものはいわゆる「時代背景」であります。

　例えば、お釈迦さまが仏教をお開きになった時代はどのような価値観があったのか。という事です。無論、お釈迦さまのお生まれの国はインドでございまして、文化、風習、価値観、どれをとっても日本のものとは違うでしょう。しかも、およそ2,500年前でございますから、現代の価値観がそのまま、当てはまるなどと言う事もありません。

　子供の頃、お釈迦さまが国や妻子を捨てて、真理を求めて旅に出られたというくだりは、なんとなく「ひどい人だなぁ」とか「無責任だなぁ」などと、手前勝手に思っていたことでございますが、これは現代日本の感覚になるでしょう。といいますのも、当時のインドでは、ある程度の歳になった男性が、現在の地位や家族を置いて、旅に出る事はそこまで珍しくなかったそうです。
　バラモンの経典には、人生を四つに分けて後半は、修行をすることをすすめています。無論、どれほどの人間がそうしていたかは分かりませんが、経典にある以上、一定数はおられたと思われます。（とはいうものの王子が国を捨てて修行されるというケースは極々稀だったと思われますが…）

　ですから、私達が考えている常識やあたりまえ、それらの中では中々見えてこない真実があるのです。その時代を思い、改めて、お経や有名な言葉、それらを読んでみると、また違った発見があるかもしれません。

　ちなみに、私は高校で歴史を学ぶのはそこまで好きではありませんでしたが、仏教を学ぶにあたり、時代背景を学んでいくと、中々面白いと思うようになりました。とはいえ、歳のせいかもしれませんが（笑）