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六道⑪地獄“阿鼻”Ⅰ
いよいよ、地獄道も最後の一つになりました。思い返せば、火であぶられたり、鉄の棒で叩かれたりと散々な地獄の姿でありましたが、恐ろしいから“地獄”なのです。これが、生ぬるいものでしたら、地獄の意味がありません。 さて、この最後の“阿鼻(あび)地獄”は、それまでの地獄が生ぬるく見えそうなほど、強烈な場所になっています。いつものように『往生要集』をもとにお話させていただきます。
地獄道の八つ目は“阿鼻(あび)地獄”といいます。
前回と同じく箇条書きに致しますと
1.八大地獄の八つ目の地獄が“阿鼻(あび)地獄”という。※1
2.大焦熱地獄の下にある。欲界の底になります(距離は不明です)※2
3.“阿鼻地獄”の縦横の長さは576000kmで、面積は3317億7600万平方キロメートルです。※3
4.一切が火炎に覆われ、全ての方向、全ての空間に隙間がない。大地には罪人で満ちている。戻るところはなく、同伴の者ない。孤独である。日、月、星さえ見えない。
5.阿鼻地獄に堕ちる際は、足を上に頭を下にし、二千年の間落下し、辿り着くという。
6.七重の鉄の城、七層の鉄の網があり、十八の壁があり、その周囲には刀林がある。
7.四方に四体の銅の狗(いぬ)がいる。背丈は288kmあり、鋭い牙と雷のような目を持ち、毛穴から炎を生じている。その煙の臭いは例えようがない悪臭である。
8.18の獄卒(地獄の鬼)がいる。64の目を持ち、28.8kmの牙を持ち、その先から炎を生じ、阿鼻城を覆っている。頭に八の牛頭があり、それぞれの牛頭に18の角があり炎を出している。
9.七重の城の中に七つの鉄の支柱があり、泉のように炎がわき、城の中を炎で満たしている。
10.8万4千の鉄の大蛇がおり、毒や火を吐き、鉄の雨を降らす。また、500億の虫がおり、8万4千のくちばしがあり、炎を生ずる。
阿鼻地獄は漢訳を「無間(むけん)地獄」といい、最も恐ろしい地獄です。無間とは、苦しみが無い時間が無い、という意味だそうです。例えば、等活地獄ですと、体をバラバラにされてから、生き返るまで苦痛は無いとされますが、無間地獄は、そのわずかな時間さえないそうです。 今回は、「阿鼻地獄」の姿ですが、次はその内容を紹介します。しかしながら、全容は分らないそうです。というのも、「もし、人ありて(阿鼻地獄の苦しみを)説き、もし人ありて聴かば、かくのごとき人は血を吐きて死せん」とあります。内容を聞いただけで、血を吐いて死ぬのですから……。まさに筆舌に耐えないということでしょうか。
余談ですが、阿鼻地獄の阿鼻は、サンスクリット語の「avici」(アヴィーチ)に由来します。
以下は註です。
※1 『往生要集』に「八に阿鼻地獄といふは」とあります。
※2 『往生要集』に「阿鼻地獄といふは、大焦熱の下にあり。欲界最底の処なり」とあります。
※3 『往生要集』に「かの阿鼻城は、縦横八万由旬にして」とあります。等活地獄の時と同じく、1由旬を7.2kmで計算しております。
等活地獄同様、計算は概算です。また、勘違いや、計算の間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。尚、参考は『浄土真宗聖典注釈版 七祖編』です。
22/09/30
22/09/29
22/09/16
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いよいよ、地獄道も最後の一つになりました。思い返せば、火であぶられたり、鉄の棒で叩かれたりと散々な地獄の姿でありましたが、恐ろしいから“地獄”なのです。これが、生ぬるいものでしたら、地獄の意味がありません。
さて、この最後の“阿鼻(あび)地獄”は、それまでの地獄が生ぬるく見えそうなほど、強烈な場所になっています。いつものように『往生要集』をもとにお話させていただきます。
地獄道の八つ目は“阿鼻(あび)地獄”といいます。
前回と同じく箇条書きに致しますと
1.八大地獄の八つ目の地獄が“阿鼻(あび)地獄”という。※1
2.大焦熱地獄の下にある。欲界の底になります(距離は不明です)※2
3.“阿鼻地獄”の縦横の長さは576000kmで、面積は3317億7600万平方キロメートルです。※3
4.一切が火炎に覆われ、全ての方向、全ての空間に隙間がない。大地には罪人で満ちている。戻るところはなく、同伴の者ない。孤独である。日、月、星さえ見えない。
5.阿鼻地獄に堕ちる際は、足を上に頭を下にし、二千年の間落下し、辿り着くという。
6.七重の鉄の城、七層の鉄の網があり、十八の壁があり、その周囲には刀林がある。
7.四方に四体の銅の狗(いぬ)がいる。背丈は288kmあり、鋭い牙と雷のような目を持ち、毛穴から炎を生じている。その煙の臭いは例えようがない悪臭である。
8.18の獄卒(地獄の鬼)がいる。64の目を持ち、28.8kmの牙を持ち、その先から炎を生じ、阿鼻城を覆っている。頭に八の牛頭があり、それぞれの牛頭に18の角があり炎を出している。
9.七重の城の中に七つの鉄の支柱があり、泉のように炎がわき、城の中を炎で満たしている。
10.8万4千の鉄の大蛇がおり、毒や火を吐き、鉄の雨を降らす。また、500億の虫がおり、8万4千のくちばしがあり、炎を生ずる。
阿鼻地獄は漢訳を「無間(むけん)地獄」といい、最も恐ろしい地獄です。無間とは、苦しみが無い時間が無い、という意味だそうです。例えば、等活地獄ですと、体をバラバラにされてから、生き返るまで苦痛は無いとされますが、無間地獄は、そのわずかな時間さえないそうです。
今回は、「阿鼻地獄」の姿ですが、次はその内容を紹介します。しかしながら、全容は分らないそうです。というのも、「もし、人ありて(阿鼻地獄の苦しみを)説き、もし人ありて聴かば、かくのごとき人は血を吐きて死せん」とあります。内容を聞いただけで、血を吐いて死ぬのですから……。まさに筆舌に耐えないということでしょうか。
余談ですが、阿鼻地獄の阿鼻は、サンスクリット語の「avici」(アヴィーチ)に由来します。
以下は註です。
※1
『往生要集』に「八に阿鼻地獄といふは」とあります。
※2
『往生要集』に「阿鼻地獄といふは、大焦熱の下にあり。欲界最底の処なり」とあります。
※3
『往生要集』に「かの阿鼻城は、縦横八万由旬にして」とあります。等活地獄の時と同じく、1由旬を7.2kmで計算しております。
等活地獄同様、計算は概算です。また、勘違いや、計算の間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。尚、参考は『浄土真宗聖典注釈版 七祖編』です。